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胆のう・胆管・膵臓の病気

胆のう、胆管、膵臓(すいぞう)は、お腹の奥深く(胃の裏側や肝臓の近く)に位置しており、主に消化液の分泌や調節を行う「消化器の裏方」として働いています。

これらの臓器は、肝臓と同様に初期の段階では自覚症状が出にくいことが大きな特徴です。「少しみぞおちが痛む」「背中が張る」「なんとなくお腹の調子が悪い」といった何気ない症状の裏に、胆石症や胆のう炎、あるいは膵炎や初期の腫瘍などが隠れていることがあります。「胃薬を飲んでいるのにすっきりしない」「背中やみぞおちに違和感がある」という方は、胃だけでなくこれらの臓器からのサインかもしれません。どうぞお気軽に当院へご相談ください。

 

①胆石症

胆石症とは、肝臓で作られる「胆汁」という消化液の成分が、通り道である「胆のう」や「胆管」の中で固まり、石(胆石)ができてしまう病気です。石があるだけでは症状が出ないことも多いですが、石が動いて出口に詰まると、のたうち回るほどの激しい痛みを引き起こすことがあります。また、放置すると細菌感染を起こして「急性胆のう炎」などの命に関わる重症な炎症に発展することもあるため、正しい理解と適切な対応が必要です。

胆石ができる主な原因

胆石ができる主な原因には、食生活や体質の変化が深く関係しています。特に脂っこい食事が最大の引き引き金になります。

胆石になりやすい方の特徴:4つのF

欧米では昔から、以下の4つの条件(4つのF)を満たす人に胆石ができやすいと言われています。

Fatty 肥満ぎみの方
Female 女性
Forties 40代以降の方
Fertile 経産婦(子供を出産したことがある女性)

こんな症状はありませんか?

胆石症の痛みは胆石発作と呼ばれ、以下のような非常に分かりやすい特徴があります。

食後の急な痛み 食べたものを消化するために胆のうが収縮した際、石が出口に詰まることで、食後1〜2時間以内に激しい痛みが起こります。
痛む場所 みぞおちや右の肋骨の下、さらには右の肩や背中にまで抜けるような痛みが広がることもあります(放散痛)。
胃痛との勘違い みぞおちが痛むため、「いつもの胃痛かな」と勘違いして胃薬を飲んでも、一向に痛みが治まらない場合は胆石を強く疑います。
危険なサイン 痛みに加えて高熱が出たり、白目や皮膚が黄色くなる黄疸が出たりした場合は、急性の胆のう炎や胆管炎を起こしている可能性があり、一刻も早い受診が必要です。

検査と診断

胆石があるかどうかは、お腹を切ったり痛い思いをしたりすることなく、簡単に調べることができます。

  • 腹部超音波検査:胆石を発見するための最も確実で、最も体に優しい検査です。お腹に超音波を当てるだけで、石の大きさや個数、胆のうの壁が腫れていないかをリアルタイムで観察できます。
  • 血液検査:胆汁の流れが滞っていないか、体に強い炎症が起こっていないか(白血球やCRPの数値)をチェックします。

治療について

胆石の治療は、症状があるかどうかによって対応が大きく異なります。

  1. 症状がない場合(無症状胆石)
    健康診断のエコー検査などで偶然見つかったものの、これまでに一度も痛みを起こしたことがない場合は、原則としてすぐの手術や治療は必要ありません。年に1〜2回、当院で定期的にエコー検査を行い、経過を観察します。
  2. 症状がある場合(腹痛を繰り返す、または炎症がある場合)
    一度でも激しい痛みを起こした胆石は、その後も高い確率で発作を繰り返したり、重症な胆のう炎を起こしたりします。そのため、基本的には胆のうを摘出する手術が根本的な治療となります。現在は、体への負担が非常に少ない腹腔鏡下手術が主流です。

「油ものを食べた後にみぞおちが激しく痛むけれど、しばらくすると嘘のように痛みが引いてしまう」といった経験はありませんか?それは胃の病気ではなく、胆のうからのSOSかもしれません。症状がないうちは焦る必要はありませんが、炎症を起こすと一気に重症化する恐れがあります。まずは当院で痛みのないエコー検査から始めてみませんか。

 

②急性胆のう炎・急性胆管炎

胆のう炎と胆管炎は、肝臓で作られる消化液(胆汁)の通り道に細菌が感染し、激しい炎症を引き起こす緊急性の高い病気です。

  • 急性胆のう炎:胆汁を一時的に溜める胆のうに炎症が起こります。
  • 急性胆管炎:胆汁が十二指腸へと流れる一本道である胆管に炎症が起こります。特に胆管炎は進行が非常に早く、放置すると細菌が血液に乗って全身に広がる敗血症という命に関わる状態に陥りやすいため、一刻も早い治療が必要です。

主な原因

どちらも最大の原因は出口や通り道が詰まることです。川の流れが堰き止められると水が濁るのと同じで、通り道が詰まって胆汁がよどむと、そこに細菌が大繁殖して激しい炎症を起こします。原因の多くは胆石ですが、胆のうのポリープや腫瘍、胆管の狭窄などが原因で流れが滞ることもあります。

すぐに受診が必要な危険なサイン

胆のう炎・胆管炎は、通常の胃腸炎などとは異なり、強い症状が同時に現れます。これらが見られたら、「一晩様子を見よう」とせず、すぐに医療機関を受診してください

激しいお腹の痛み みぞおちから右の肋骨の下にかけて、激しい痛みが持続します。胆石発作と違い、時間が経っても痛みが引きません。
38度以上の高熱 細菌感染が強いため、悪寒(ブルブル震える寒気)を伴う高い熱が出ます。
黄疸 胆汁が血液中に逆流するため、白目や皮膚が黄色くなる、尿の色が濃いウーロン茶のようになるといった症状が現れます。

特に高齢者の方は注意が必要です。高齢の方の場合、お腹の痛みをあまり強く訴えず、熱だけが出る、なんとなく元気がない、といったケースがあります。周囲のご家族が「いつもと様子が違う」と気づくことが大切です。

検査と診断

一分一秒を争う場合もあるため、迅速に診断を行います。

  • 腹部超音波検査:その場で迅速に診断が可能です。胆のうの壁がパンパンに腫れ上がっていないか、胆管が太くなっていないか、詰まっている石がないかを安全に確認します。
  • 血液検査:炎症の強さや胆汁の流れの滞りをチェックし、重症度を正しく評価します

治療について

治療の基本は、絶食と抗生物質の点滴、そして詰まった胆汁を外へ流し出すドレナージ治療や手術です。

  1. 初期治療(全身管理)
    すぐに絶食として点滴を行い、脱水を防ぐとともに、原因となっている細菌を叩くための強力な抗生物質を投与します。
  2. ドレナージや手術
    抗生物質だけでは根本解決にならないことが多いため、速やかに専門病院へご紹介します。胆管炎の場合は内視鏡による治療、胆のう炎の場合は膿を取り出す治療や外科手術が行われます。

胆のう炎や胆管炎は、放置してしまうと短時間で急激に重症化する恐れがある、消化器疾患の中でも特に油断できない病気です。おかしいなと思ったら、迷わずすぐにご相談ください

 

③胆のうポリープ

胆のうポリープとは、胆のうの内側の粘膜にできる隆起の総称です。健康診断で見つかることが非常に多い病変です。その約9割は良性で、がん化する心配はありません。ただし、まれに腫瘍(胆のうがん)が隠れていることがあるため、正しい見極めが必要です。

主な原因と種類

コレステロールポリープ 約90%を占めます。胆汁に含まれるコレステロール成分が粘膜に沈着したもので、肥満や脂っこい食事を好む傾向などが関係していると言われています。
腫瘍性ポリープ 粘膜の細胞が異常に増殖したもので、将来がん化するリスクがある腺腫や、はじめからがんとして発生するものが含まれます。

こんな症状はありませんか?

胆のうポリープの最大の特徴は、自覚症状がまったく無いということです。ポリープ自体がお腹の痛みや体調不良を引き起こすことは基本的にありません。そのため、健康診断や人間ドックのエコー検査で偶然に指摘されて初めて気づくケースがほとんどです。

検査と診断

  • 腹部超音波検査:ポリープの大きさ、形、個数をリアルタイムで細かく観察できます。
  • 精密検査:大きさが10ミリ(1センチ)を超えている場合や、形が不自然な場合は、CTやMRIによる精密検査が必要です。その際は、信頼できる専門病院へスムーズにご紹介いたします。

治療方針:基本は定期的なエコー観察です

胆のうポリープの治療は、ポリープの大きさと形によって方針が決まります。

  1. 大きさが10ミリ未満の場合
    すぐの手術や特別な治療は必要ありません。半年に1回、あるいは1年に1回、当院で定期的にエコー検査を行い、変化がないかを観察していきます。
  2. 大きさが10ミリ以上、またはがんが疑われる場合
    大きさが10ミリを超えてくると、悪性の確率が段階的に高くなるため、胆のうを摘出する手術が検討されます。

健診の結果に「胆のうポリープ」と書かれていると不安になると思いますが、その多くは良性です。大切なのは、自己判断で放置せず、定期的にエコー検査でチェックし続けることです。当院では丁寧な検査で患者さんの安心をサポートいたします。

 

④膵のう胞

膵のう胞とは、膵臓の中にできる液体が溜まった袋のことです。のう胞の多くは良性ですが、中には放置するとがん化するものや、周囲に膵がんが発生しやすいタイプがあるため、定期的なチェックが極めて重要です。

代表的な種類

IPMN 最も増えているタイプです。ゆっくりとがん化するリスクがあるほか、のう胞とは別の場所に通常の膵がんが発生しやすいことが分かっています。
漿液性・粘液性のう胞 女性に多く見られます。良性が多いですが、種類により手術が必要な場合があります。
炎症性のう胞 膵炎の傷跡として膵液が溜まったものです。

検査と診断

初期〜中期では自覚症状がまったくないため、検査が欠かせません。

  • 腹部超音波検査:まずは当院のエコーで、のう胞の大きさや形、周囲の様子を丁寧に観察します。
  • MRCP検査:膵臓や胆管の通り道を立体的に描き出す精密検査です。がん化の兆候がないかを調べるために欠かせない検査です。

当院は地域の基幹病院と深く連携しています。精密な検査が必要な場合、当院からスムーズに専門病院の予約をお取りすることが可能です。結果は当院で院長が分かりやすくご説明いたします。

 

⑤慢性膵炎

慢性膵炎とは、膵臓に長期間にわたってじわじわと微弱な炎症が続くことで、膵臓の細胞が少しずつ破壊され、ゴツゴツと硬くなっていく病気です。硬くなってしまった膵臓は、元のみずみずしい状態に戻ることはありません。進行すると、食べたものを消化する力や、血糖値を下げるホルモンが出せなくなってしまい、私生活に様々な影響を及ぼします。早期に見つけて進行をストップさせることがとても大切な病気です。

慢性膵炎の主な原因

慢性膵炎の最大の原因は、圧倒的に長期間にわたるお酒の飲みすぎです。全体の約7割近くを占めています。

アルコールの過剰摂取 毎日大量のお酒を飲み続けることで、膵液の成分がドロドロになり、膵臓の通り道を詰まらせて自分自身の細胞を傷つけてしまいます。
その他の原因 お酒を飲まない方の場合は原因が特定できないものや、胆石、脂っこい食事、喫煙、自己免疫性膵炎などが原因となることもあります。

病気のステージと症状の変化

慢性膵炎は、病気の進み具合(ステージ)によって、現れる症状がガラリと変わるという大きな特徴があります。

  1. 代償期(初期〜中期のサイン)
    まだ膵臓の働きが保たれている段階です。食後やお酒を飲んだ後に、みぞおちから背中にかけて、締め付けられるような強い痛みが起こります。痛みは数日でおさまることが多いですが、お酒や脂ものを摂るとまた発作を繰り返します。
  2. 非代償期(進行期のサイン)
    膵臓の細胞のほとんどが硬くなって機能が失われた段階です。あれほど激しかったお腹の痛みが消えてしまうことが多く、治ったと勘違いされがちです。しかし実際は、消化液が出なくなるため、油が浮いたような白っぽい便や慢性的な下痢になり、体重が急激に減少します。

検査と診断

現在の膵臓の硬さや、機能がどれくらい残っているかを詳しく調べます。

  • 腹部超音波検査:当院で実施可能です。膵臓の表面がゴツゴツしていないか、萎縮して小さくなっていないか、石ができていないかをその場で確認します。
  • MRCP検査:提携する基幹病院で行います。膵液の通り道が不規則に太くなったり細くなったりしていないかを非常に鮮明に描き出し、確実な診断につなげます。
  • 血液・尿検査:膵酵素の数値を測定し、現在の炎症の勢いを評価します。

慢性膵炎の治療について

失われた膵臓の機能を薬で補い、これ以上の進行を食い止めることが最大の目標です。

  1. 最も重要な治療は禁酒と禁煙
    お酒が原因の場合、「完全にお酒を断つ」ことが何よりの特効薬となります。禁酒によって、初期であればお腹の激しい発作をピタッと止めることができます。
  2. 食事の工夫(低脂肪食)
    膵臓に負担をかけないよう、揚げ物やラーメンなどの脂っこい食事を控えめにし、1回の食事量を腹八分目に抑える工夫が大切です。
  3. お薬による治療
    代償期の痛みには蛋白分解酵素阻害薬、非代償期の消化不良には強力な消化酵素薬を処方します。糖尿病を発症した場合は、適切に血糖値をコントロールします。

「お酒を飲むと、みぞおちや背中がたびたび激しく痛む」といった症状はありませんか? それは、がんばり続けてきたあなたの膵臓が、悲鳴を上げているサインかもしれません。早期に正しい治療を始めれば、病気の進行をピタリと止め、これまで通りの元気な毎日を長く維持することができます。当院では、痛みのないエコー検査からスタートし、あなたの膵臓の健康を優しく守ります。

 

⑥膵臓がん

膵臓がんは初期の自覚症状がほとんど現れず、進行が早いことから見つけるのが難しいがんの代表と言われてきました。しかし、がんになりやすい危険因子を把握し、定期的な検査を行うことで、早期発見の可能性が高まります。

膵臓がんのリスク要因

以下に該当する方は、症状がなくても定期的なチェックを推奨します。

  • 膵臓の持病:慢性膵炎、膵のう胞(IPMNなど)
  • 生活習慣病糖尿病(特に、最近急激に血糖値が悪化してきた方)、肥満
  • 生活習慣・遺伝:長年の大量飲酒、喫煙、ご家族に膵がんなどを患った方がいる

こんな症状はありませんか?

かなり進行するまでサインを出しませんが、以下の症状がある場合はお早めに検査をお受けください。

痛み みぞおちの奥や背中・腰の痛みが、胃薬を飲んでも治まらず持続します。
体重減少 ダイエットをしていないのに、急激に体重が落ちます。
糖尿病の悪化 これまで安定していた血糖値が急に跳ね上がった場合は、膵臓の異常を疑います。

治療について

膵臓がんの治療は、ステージや全身状態に応じて検討されます。

  1. 外科手術(切除術)
    がんを完全に切り取ることが、最も確実な根治への道となります。最近では手術前に抗がん剤治療を行う「術前化学療法」が主流です。
  2. 化学療法・放射線治療
    すぐに手術が難しい場合や転移がある場合は、優れた新しい抗がん剤や放射線を用いて、進行を抑え症状を和らげます。

「膵臓がん」と聞くと強い不安を感じると思いますが、症状が出る前の小さな変化を捉えることが何よりも重要です。当院では、エコー検査と基幹病院との強力なネットワークを使って徹底的にフォローいたします。あなたの大切な体を守るために、まずは一度お気軽にご相談ください。

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